2011年04月18日21:55
![おしどり池](//img02.hamazo.tv/usr/kiti/CIMG8644.jpg)
浜名総社神明宮 と同じ敷地内にある おしどり池です。 ◆ 地図はこちら
小さな池ですが、この池に三ヶ日町の伝説が残されています。
![おしどり池](//img02.hamazo.tv/usr/kiti/CIMG8640.jpg)
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三ケ日町に、英多(あがた)【浜名総社神明宮】神社と言うのがある。
式内郷社で遠江六十二社の一つ、一千年前の創建であるといわれている。
この神社の前に、おしどり池と呼ばれる、小さな池がある。
昔・・・というか・・・弓矢を使う頃だから、四、五百年も前のことであろう。
このあたりに一人の猟師がいて、彼は毎日、山へ狩に行っては、細々と暮らしを立てていた。
ある日、彼は弓矢を肩に、山に入ったが、思うように獲物はなかった。
「仕方がない、今日という日は……」
彼は沈みかけた夕日を眺めながら、トボトボと山を下ってきた。
「今夜は何を食べるのかな。 きっと待っているだろうが・・・?」
獲物のない腰を見て、待っているであろう家族の顔を瞼に描くと、彼はいよいよ寂しくなった。
英多神社の辺にきたとき、ふと前の池を見ると、どこから来たのか、
二羽のおしどりが赤い夕陽を浴びながら、悠々と仲良く泳いでいる。
「おぅ、いい獲物だ」
彼は、思わず笑顔になった。 躍るような胸を押さえながら、弓に矢をつがえながら、
中の一羽を的に射た、日頃の手練の矢は、思い通りに、水鳥の心臓をつらぬいた。
「うまくいったぞ」
続いて残る一羽もと、再び矢をつがえたて見たが、もうそれは波に隠れて見えなかった。
猟師は射止めた一羽を、手元にかき寄せてみた。
それは雄のおしどりであった。(まずはできたぞ)と、喜び勇んで帰ってきた。
そして首を切って裏の竹薮に投げ込むと、羽をもいで料理して夕げの膳にのせた。
![おしどり池](//img02.hamazo.tv/usr/kiti/CIMG8641.jpg)
「今日は駄目かと思ったが、まあよかったよ」
「そうね」
彼は美味そうに、舌鼓を打っていた。
「これ、なんという鳥?」
と、妻は聞いた。
「おし鳥だよ、英多様の前の池で、一矢でしとめたのよ」
「まぁ、おし鳥? そして雄なの、 それとも雌?」
「雄だよ。だから余計美味い」
「でも可愛そうだわ。 仲のいい鳥というのに」
「なあに、かまうものか」
「でも・・・」
妻は寂しそうな顔をした、彼女は日頃から、夫が生き物を殺すことを業とするのを、
心よからず思っていた。
それよりも早く正業について、真面目に働いてもらいたかった。
その夜である。 真夜中と思うころ、裏の竹薮で怪しい鳥の声が、二声三声した。
眠っていた夫婦は、ふと目を覚ました。
「あなた、今の声はなんでしょう?」
「さあ」
「変な声ね」
「かまうものか」
彼は気にも止めなかった。翌る日、彼が池の辺に行って見ると、
今日は雌のおし鳥が一羽、寂しげに浮かんでいた。
「おぅ、いた。 昨日の片われだな」
彼は昨日の膳の味が忘れられず、嬉しさに、思わず笑みが込み上げてきた。
弓を取ると手早く矢をつがえた。
今日のおし鳥は彼の弓を見ても、別に逃げようともしなかった。
矢は昨日のように、鳥の心臓を射抜いた。
![おしどり池](//img02.hamazo.tv/usr/kiti/CIMG8642.jpg)
「上手くやった。これでみんなだな」
にたりとしながら、弓の先で手元にかきよせて、水の上に拾い上げた。
見るとその羽がいの中には、昨日捨てた雄首が、
かたく、かたく抱きしめられているのであった。
「おおッ」
彼は思わず蒼白くなった。同時に、昨夜妻が食膳で言った言葉が、頭の中をかすめた。
「止めた。 こんな仕事は止めた」
彼は大切におし鳥を抱えると、そのままわが家に帰って来た。
「鍬をかしとくれ」
妻から鍬を取ると、黙って裏の竹薮に行って、雌のおし鳥の死骸と、
雄首とを一緒にして、丁寧に埋めてやった。
彼はその後、生き物の命をとることをプッリと止めて、真面目な百姓となって働いた。
それ以来この池を、 【おしどり池】、いうようになったのである。
(【監修発行 三ケ日町教育委員会】三ケ日昔はなし)参照
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濱名惣社神明宮 関連記事
◆ 濱名惣社神明宮・本殿
http://rebox.hamazo.tv/e2919460.html
◆ 濱名惣社神明宮・拝殿
http://rebox.hamazo.tv/e2915279.html
◆ 天羽槌雄命社 あまはづちをのみことしゃ
http://rebox.hamazo.tv/e2934547.html
◆ 天棚機媛命社 あめのたなばたひめのみことしゃ
http://rebox.hamazo.tv/e2953930.html
◆ 万度石
http://rebox.hamazo.tv/e2976811.html
◆ さざれ石
http://rebox.hamazo.tv/e2988579.html
◆ 濱名惣社神明宮の秋葉灯籠
http://rebox.hamazo.tv/e2079061.html
◆ おしどり池
http://rebox.hamazo.tv/e2962212.html
◆ 濱名惣社神明宮の御神木
http://rebox.hamazo.tv/e3008462.html
◆ 願かけ絵馬
http://rebox.hamazo.tv/e3066124.html
◆ 参拝記念植樹
http://rebox.hamazo.tv/e3294584.html
◆ 蛇塚
http://rebox.hamazo.tv/e3114709.html
◆ 縣榮雄翁頌徳碑
http://rebox.hamazo.tv/e3196718.html
◆ 太田の命社
http://rebox.hamazo.tv/e3352815.html
三ヶ日町の民話と伝説
2011/05/09 切り通しの一つ地蔵
2011/04/18 おしどり池
2011/02/04 婿山
2011/01/10 瀬戸の猪鼻岩
2010/12/28 神明浦のお近火
2010/09/04 日比沢の大楠
2010/06/15 樹上の落ち武者
2010/05/08 尾奈の峰合戦
2010/03/26 公家塚
2010/03/10 廣福寺
2009/06/23 玉庵禅師
2009/06/11 大里のお虎狐
2009/04/21 ほうづき駅跡
2009/02/17 巡礼の祟り屋敷
2008/11/24 鵺代 八柱神社
2008/09/25 幡教寺跡
2007/10/20 三ヶ日町、名称発祥の池
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2007/08/31 瓶割峠
2007/08/19 幡教寺跡
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2007/05/30 佐久城城主
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カテゴリー │ 三ヶ日、民話と伝説
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浜名総社神明宮 と同じ敷地内にある おしどり池です。 ◆ 地図はこちら
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三ケ日町に、英多(あがた)【浜名総社神明宮】神社と言うのがある。
式内郷社で遠江六十二社の一つ、一千年前の創建であるといわれている。
この神社の前に、おしどり池と呼ばれる、小さな池がある。
昔・・・というか・・・弓矢を使う頃だから、四、五百年も前のことであろう。
このあたりに一人の猟師がいて、彼は毎日、山へ狩に行っては、細々と暮らしを立てていた。
ある日、彼は弓矢を肩に、山に入ったが、思うように獲物はなかった。
「仕方がない、今日という日は……」
彼は沈みかけた夕日を眺めながら、トボトボと山を下ってきた。
「今夜は何を食べるのかな。 きっと待っているだろうが・・・?」
獲物のない腰を見て、待っているであろう家族の顔を瞼に描くと、彼はいよいよ寂しくなった。
英多神社の辺にきたとき、ふと前の池を見ると、どこから来たのか、
二羽のおしどりが赤い夕陽を浴びながら、悠々と仲良く泳いでいる。
「おぅ、いい獲物だ」
彼は、思わず笑顔になった。 躍るような胸を押さえながら、弓に矢をつがえながら、
中の一羽を的に射た、日頃の手練の矢は、思い通りに、水鳥の心臓をつらぬいた。
「うまくいったぞ」
続いて残る一羽もと、再び矢をつがえたて見たが、もうそれは波に隠れて見えなかった。
猟師は射止めた一羽を、手元にかき寄せてみた。
それは雄のおしどりであった。(まずはできたぞ)と、喜び勇んで帰ってきた。
そして首を切って裏の竹薮に投げ込むと、羽をもいで料理して夕げの膳にのせた。
![おしどり池](http://img02.hamazo.tv/usr/kiti/CIMG8641.jpg)
「今日は駄目かと思ったが、まあよかったよ」
「そうね」
彼は美味そうに、舌鼓を打っていた。
「これ、なんという鳥?」
と、妻は聞いた。
「おし鳥だよ、英多様の前の池で、一矢でしとめたのよ」
「まぁ、おし鳥? そして雄なの、 それとも雌?」
「雄だよ。だから余計美味い」
「でも可愛そうだわ。 仲のいい鳥というのに」
「なあに、かまうものか」
「でも・・・」
妻は寂しそうな顔をした、彼女は日頃から、夫が生き物を殺すことを業とするのを、
心よからず思っていた。
それよりも早く正業について、真面目に働いてもらいたかった。
その夜である。 真夜中と思うころ、裏の竹薮で怪しい鳥の声が、二声三声した。
眠っていた夫婦は、ふと目を覚ました。
「あなた、今の声はなんでしょう?」
「さあ」
「変な声ね」
「かまうものか」
彼は気にも止めなかった。翌る日、彼が池の辺に行って見ると、
今日は雌のおし鳥が一羽、寂しげに浮かんでいた。
「おぅ、いた。 昨日の片われだな」
彼は昨日の膳の味が忘れられず、嬉しさに、思わず笑みが込み上げてきた。
弓を取ると手早く矢をつがえた。
今日のおし鳥は彼の弓を見ても、別に逃げようともしなかった。
矢は昨日のように、鳥の心臓を射抜いた。
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にたりとしながら、弓の先で手元にかきよせて、水の上に拾い上げた。
見るとその羽がいの中には、昨日捨てた雄首が、
かたく、かたく抱きしめられているのであった。
「おおッ」
彼は思わず蒼白くなった。同時に、昨夜妻が食膳で言った言葉が、頭の中をかすめた。
「止めた。 こんな仕事は止めた」
彼は大切におし鳥を抱えると、そのままわが家に帰って来た。
「鍬をかしとくれ」
妻から鍬を取ると、黙って裏の竹薮に行って、雌のおし鳥の死骸と、
雄首とを一緒にして、丁寧に埋めてやった。
彼はその後、生き物の命をとることをプッリと止めて、真面目な百姓となって働いた。
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