樹上の落ち武者

カテゴリー │ 三ヶ日、民話と伝説

樹上の落ち武者


三ヶ日町平山に、昔話として遺っている話しがあります。

◆ 老人の戯言日記   樹上の落ち武者  より引用

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《三ケ日町昔ばなし 【民話と伝説】》

三ケ日町 平山の笹根橋の南西の蜜柑畑の中に 【すいせん様】 または 【若宮様】
と地元の人に呼ばれている、小さな祠がある。

それは、織田信長や、豊臣秀吉が天下を争う、戦国時代のある夏の日のことであった。

三州のあたりで、戦いがあったのであろう、中山峠を越して、ようやく逃げ延びてくる
手負いを受けた一人の落ち武者があった。

落ち武者は、あえぎ あえぎ、今は、息も絶え絶えになって走っていた。 
見れば彼方からは追っての一隊が駆けて来るのである。

「どこかに隠れる所は・・・・・」

彼は、夢中になって、あたりを物色した。 見つかれば命のないのは分かっている。
お互いに交戦している時は、命も惜しくないが、一旦逃げてみると、命がたまらなく惜しくなるのだ。

ふと見ると、豪農の邸宅があった。 平山の次郎左衛門という長者の屋敷である。
この屋敷の裏側には雑木林があって、その中にひときわ大きい椋の木が、真っ黒に繁っていた。

「あれだ」

彼は、咄嗟に屋敷に入り込みと、哀願するような眼で、次郎左衛門を見た。

「頼む、頼む・・・・・」

彼は、最後の勇気を振り絞って椋の木にスルスルと登った。 そして梢に近い、
真っ黒に繁った葉の中に忍び込んで隠れた。

やがて追っての一隊が近づいてきた。 ところが姿を見失ってしまったので、

「おや、どうした」

「見えないぞ」

と、そのあたりを探していた。 高い椋の木の上、 しかも繁ったお、葉の中とて、
下から見ても、見えないのである。 それと知らない彼らに、気付く訳はなかった。

「駄目だ、あるいは死んだのかも知れないぞ。 あの深手ではな」

「そうだ。もう帰ろう。」

と、追っての一隊は、仕方なく引き揚げようとした。 その時、次郎左衛門は欲に目がくらんだ。
(これを知らせたらきっと恩賞があるな) と 考え、一隊の長と思われる者に、

「お武家様、ちょっと」  と、声をかけた。

「なんじゃ」

「あの落ち武者でございましょう」

「そうじゃ、知っているのか」

「はい、あれ、あの椋の木に・・・・」

「なに、椋の木・・・・それ、そこを探せ」

一隊は椋の木の下に、とやとやと駆けて行った。 
けれど、椋の葉は繁っていてどこにも姿は見えなかった。

「よし、弓で射よ」

一隊は真っ黒い繁みに向かって、一斉に矢を射た。 と、その一本が命中しておち武者は
どさりと、根本に落ちてきた。

「首を、首を切れ」

一隊は駆け寄って、首を跳ねた。 彼らはその首を携えて、凱歌をあげながら、
中山峠方にと、勇んで引き揚げていった。

これからと言うもの、次郎左衛門の一族には、病人の絶え間がなかった。

「私の家はどうして、こう病人が多いのだろう。 何か訳が有るのだろうか?」

あるとき、占い者に見てもらった。 すると、

「むかし、落ち武者が屋敷の中で殺されている。 その落ち武者が迷って祟っているのだ」

と、いうのだった。

「えッ、落ち武者の祟り?」

次郎左衛門の家では、祠を建てて、霊を祭った。 その後、次郎左衛門の家は亡びて、
広い屋敷は開墾されたが、祠だけは残って、そのあたりの人々は今でも祀っている。
   
             (【三ケ日町教育委員会 監修発行】 三ケ日町昔ばなし) 参照
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樹上の落ち武者


みかん畑の中に祠が祀られています。

石碑には、 「平山学校森田校舎跡地」 と刻まれていますが・・・

平山学校発祥の地 と何か関係があるのでしょうか・・・?


◆ 延命寺
http://rebox.hamazo.tv/e2389559.html


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この記事へのコメント
時々 お邪魔させていただいとりますです

昨日は じっくりと「はやぶさ」見てなきましたですよ


今日のお話も じっくりと読みましたです
Posted by 唐 宇 了 at 2010年06月15日 21:32
> 唐 宇 了 さん

いつも、ブログを見ていただいて、ありがとうございます。

地元の昔話とか、伝説は、なるべく、子ども達に伝え広げるようにしたいですよね
そのために、大人は、いろいろ、幅広く勉強しなければいけませんよね (^^) 
Posted by rebox at 2010年06月16日 10:06
 
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    コメント(2)